クリムト 黄金の騎士をめぐる物語 愛知県美術館

2/11まで開催されているクリムト展に行ってきました。愛知県美術館所蔵の黄金の騎士を中心とした展覧会。いかにもクリムトなキンキラの絵は少なかったですが、ウィーン分離派やらウィーン工房やら盛りだくさんな展示でした。
「ストックレーフリーズ」の複製によって食堂の壁面が再現されており面白い。撮影可能です。

ウィーン大学の壁画として描かれた「哲学」「医学」「法学」も実物大の複製品を見ることができ、その細かさと雰囲気にみとれてしまいました。はじめの方に展示されていたデッサンもきれいだったー。


インテリアやらアクセサリーやらもあり、見応えのありました。行かれる際はお時間に余裕を持ってどうぞ。

 ヴァンジ彫刻庭園美術館・IZU PHOTO MUSEUM

静岡のクレマチスの丘に行ってきました。
クレマチスの丘というだけあってクレマチスやらなんやらお花がいっぱいでとても綺麗。

美術館がいくつもある素敵スポットです。

庭園と室内に作品が展示されています。
最初の方は常設のヴァンジさんの彫刻がお出迎え。
このひと

歯がこわい

建物内に作品がある、普通の美術館のような展示と

こんな感じで庭のなかに作品が展示されているスペースとがありました。他にも、草間弥生さんの花の立体など。
庭はとても広くて小山のようになっていたり、木陰にベンチもあってとても寛げます。館内は、立体や絵や写真など幅広く。「庭」をテーマにした作品が集められていました。花や蝶をモチーフとしたものが多かったです。好みな作品が多くとても楽しめました。お庭見たいってだけでふらっと立ち寄っても楽しそうな素敵な美術館です。


言わずと知れた写真家荒木経惟さんの写真集展。これまで出版された本を展示するという変わった趣向の展覧会でした。会場内の天井近くまで、壁一面に写真集が展示されており壮観。壁面に展示されているのと同じものが(全部ではないようですが)、室内に設置された長い机の上に並んでおり、手にとって見ることができます。写真集はもちろんですが、小説や絵本なんかもありました。色々なさるのですねぇ。椅子が用意されており結構じっくり読むことができます。写真集の部屋の奥には新作の写真と映像の展示。映像は、時間帯によって見られるものが違うようでした。私が見られたのは、様々な花をアップで撮影した作品。グロテスクなような、フェティッシュなような。

ちょうど改装に入ったとやらでベルナール・ビュッフェ美術館は行けませんでした。どちらも、とても良い美術館だったので、また行きたいなー。

直島・犬島

大分日が開いてしまって忘れてきていますが・・・2日目です。

宿からバスで移動。「歩いていけるかなー」とか言ってたのですが、到底無理でした。距離的には大して遠くないように見えるのですが、なにせ山・・・。途中でレンタサイクルで行こうとして挫折している人を何人か目撃しました。これから行くならバス推奨です!

印象深かったのは杉本博司さんの海を撮った写真群。
ベネッセハウスのHPのトップページにもちらっと見えるのですが↓
http://www.benesse-artsite.jp/benessehouse-museum/index.html
外出られるって気づかないと通り過ぎちゃうので、気をつけてほしいところ。
あと、家プロジェクトの「碁会所」でも作品が見られる須田悦弘さんの作品が、どこかにあります。碁会所のおじさんが凄くうれしそうに「探してごらん」と教えてくれた。探してください。
ヒントは「こんなところには、これは無い」です。

こちらでは、モネの睡蓮作品群が見られます。真っ白な部屋の四方の壁に睡蓮が飾られており、あいた天井からさしこむ自然光の下で作品を見ることができます。天気や、行く時間によって見え方が違うそうです。日暮れに行くと、部屋がすみれ色に染まってとても綺麗なのだそうです。夕方には帰る予定だったので、すみれ色のモネの部屋は見れず。
後は家プロジェクト「東寺」のジェームズ・タレルさんの作品がとても面白かったです。こちらも光を使った作品。もう、驚くの一言に尽きます。身体感覚が揺らぐ貴重な経験です。日没になるとナイトプログラムがあるようなので、次回はぜひ夕方から夜にかけて行ってみたいです。

ここのカフェでは外でお茶することができます。

海とガトーショコラ。何とか晴れたので外で食べられました。

天候に恵まれぬ旅でしたが、島独特の人の温かさにさせられて楽しく過ごせました。
夏には夜光虫も見られるそうなので、今度はゆっくり行きたいなーと思います。
まだ行けていない島もあるし!心臓音のアーカイブやりたい!

直島・犬島 

瀬戸内海のアート島。直島と犬島に行ってきました。
草間弥生さんのカボチャをご存知の方も多いのでは。台風で流されたこともあるらしい。
  
名古屋から高松まで夜行バスで8時間くらい?新幹線だと岡山まで2時間です。
1泊2日なので、「そのフェリー待った!」と走る分刻みスケジュールでした。一日目は犬島の精錬所と家プロジェクトへ


建物撮っていいといわれたけれど、土砂降りでそんな余裕がなく・・・。煙突と、精錬所の奥の発電所の写真しかとってなかった。美術館なので建物内部は撮影禁止。入館できる時間が決まっていて、ツアーのように係の人について見るシステムです。
精錬所の建物自体は最近造られたもので、照明は自然光だけ、空調は空気の流れを利用するという面白建築。柳幸典さんの作品が収められています。三島由紀夫の生家の建具が使われていたり、小説の一文をモチーフとした作品があったりと、全体的に三島由紀夫推しでした。

何故犬島で三島由紀夫なのか?を係の方に質問したところ
「昔、犬島は銅の生産で急激に近代化していった。三島由紀夫は日本の近代化に反発した作家である。その三島由紀夫に関する作品を、精錬所に置くことで来館者に色々なことを考えて欲しいという意図がある。」
というような答えをいただけました。要約してしまったけどこんな感じだったと思う。急速に近代化し、廃れ、錆びた銅産業の名残と三島。銅の退色の早さなども想われます。反骨精神に触れ、ぐぐっとなる。

  • 家プロジェクト

犬島の家プロジェクトと東屋はフェリーの時間が迫っていたので駆け足でまわりました。柳幸典さんの家プロジェクト3つ。精錬所の作品とリンクする日の丸をモチーフとした家など。ここだけに係の方が居たので説明を聞いてから他のところ回ったほうがいいかな、と思います。東屋は天井がドーム状になってて音が響く仕組みで面白い。でも凄く場所がわかりづらいです。

フェリーで直島へ移動。家プロジェクトの残りを鑑賞。
面白かったのはジェームズ・タレルさんの「東寺」です。入場制限あるのですが、ちょっと並んででも入るべき。暗闇と人間の身体の認識が変わります。なかなかできない不思議体験です。でも暗所恐怖症の人は止したほうがよいかもー。
そのほかにも「碁会所」の須田悦弘さんの本物そっくりの木彫りの椿やら、「石橋」の千住博さんの年月を経ていずれ黒一色になってしまう絵やら興味深いものがたくさんでした。
説明してもらうと「そうなんだ!おもしろー」となるものが多かったので、果敢に説明を乞うことをおすすめします。「碁会所」のおじさんは、凄くうれしそうに説明してくれました。この作品が好きなんだなーというのが伝わってきていいね。

一日目はここまでで終わり。
宿は直島の宮浦港から徒歩5分くらいのお宿です。ベネッセハウスの宿は無理すぎる。

  
湯船の中に春画がはってあったり、脱衣所では海女さんの動画がながれてたり。ポップでキッチュでエロい銭湯でした。石鹸もシャンプーも置いてないから買いたくない人は持っていくべし。

夕ご飯は銭湯のすぐ近くのshinoyaダイナーさんでいただきました。
チキンのプレート

美味しかった!食事どころを探すのが難しいという話をよくききますが、美味しいご飯にありつけてよかった。お店の内装はハワイのようで可愛い雑貨なども販売されているよう。お店の方も気さくで、直島のことや美術館のこと色々教えていただきました。お店のまえのバーベキューコンロ横の炭入れで猫がたくさん寝てた。炭の暖かさでぼんやりしてた。かわいい。

長くなってしまったので2日目はまた今度。
2日目はベネッセハウスミュージアム地中美術館。美術館めぐりです。

ジム・ダイン 主題と変奏:版画政策の半世紀@名古屋ボストン美術館

色鮮やかなハートの版画が有名なアメリカの芸術家ジム・ダインさんの展覧会です。
愛知県美術館の所蔵作品「芝刈機」が展示されている以外は全て版画作品でした。凄く昔に名古屋市美術館(たしか)で見たジム・ダインの彫刻作品が、今回展示されていないかなーと思ったのですが無くて残念。子供部屋とかそんなタイトルで黒いタンス?に星やらピストルやらのモチーフが付いていたように記憶しているのですが・・・。ご存知の方いらしたら教えてください。

さて、章立ては「初期の作品」「道具」「ローブ」「自画像」「人物画」「ハート」「草花、樹木」「ヴィーナス」「近年の作品」でした。
興味深かったのは「初期の作品」「道具」「ハート」の章。
「初期の作品」では、写真を使ったコラージュや文字を使った作品が多く見られました。白と黒をベースにした色の使い方がかっこいいったらないです。スタイリッシュで洗練されていて、見惚れてしまいます。
「道具」は文字通りトンカチやペンチをモデルにした版画。無機物の冷たさと削り落とされた機能美が細い線で描かれています。同時に、加えられた色や不穏な黒い影によってまるで有機物のようにも見えます。ひげがのびちゃう刷毛とか、お茶目ですね。
「ハート」はやっぱり凄い!としか言いようが無い・・・。描きようによっては抉り出された心臓そのものにも、愛の象徴にも、何か不気味な生き物にも見えるハート。お気に入りは「チャペル・ストリートの冬の窓」のハートです。結露した冬の窓に指で描いたような可愛らしいハートです。ハートの白が浮き出るようでとてもきれい。図録ではちょっと灰色がかってしまっているのが残念です。
「近年の作品」はアメリカー!という感じですね。アメリカにおけるディ○ニーの影響力は凄いのですね。ピノキオの作品が衝撃的でした。

土日に行ったのですがいい感じにすいていて(笑)じっくりとみることができました。図録の表紙が3種類あるのもにくいですね。私はハートの表紙を買いましたよー。

東松照明 全仕事@名古屋市美術館

麻生さんを見た翌日に東松さんを見てきた。どっちも濃いわー。
全仕事と言うだけあってとにかく作品数が多かった!地下1階から2階にかけて全て東松さん。ひとつひとつじっくり見たい写真ばかりなので時間に余裕を持って行かれるのをお勧めします。
沖縄の米軍基地付近のアメリカナイズされた生活と、高度経済成長期の日本の変化を写した作品に、敗戦を再認識させられました。沖縄の人々には、今現在も日常としてそれが突きつけられているのだということも。長崎で被爆した人々の肖像には、その人の生活や東松さんがどのように向き合ったかなどがキャプションで説明されていて、引き込まれました。長崎も沖縄も学生の時に訪れております。戦争跡地を訪れたり戦争を実際に体験した方の話を聞いたり。体験した方の話を実際に聞く体験は強く心に残っています。肖像写真は同じ効果を持っていると思います。実際に話を聞く機会は減っていくことでしょうから、写真の持つ意味合いはどんどん増していくのでしょうね。被爆した国が何故原子力を資源として使おうと思ったのか・・・。

麻生三郎展@愛知県美術館

行ってきた。
美術学校を退学してから亡くなるまでの作品が、ほぼ時系列で展示されていました。戦時下から戦後へと移り変わるなかで、徐々に描かれる対象の輪郭はぼやけていき、赤黒い画面の中に無数の目や人体の部分がちりばめられているという作品が多くなっていったようです。分厚い絵の具のなかから人らしきものを見つけたときのはっとした衝撃、恐ろしさは、どこから来るのか・・・。戦争を体験していない者が持つ未知の世界への不安、犠牲のうえに成り立っている今の生活の後ろ暗さ。そんなものが、のしかかって来るようでした。