閑話休題

他の記事と、テンション違いますがたまにはこんなのもよかろうもんです。思ったことをつらつらとつづる。

図書館にはたくさんの死角がある。防犯上は本来好ましくないことであろうが、私はここを好いている。
自殺防止の取り組みをしている図書館がある、という話を聞いた。取り組みといっても具体的に何かするのではなく「死にたくなったら図書館にいらっしゃい」という、やんわりとした心づもりで来る人を迎えるのだという。本には沢山の人の言葉が眠っている。愛も苦悩も熱情も全てがある。
見つめられるのがつらい、しかし人の気配を感じたいというような時、本棚の影に隠れて古い人の苦悩の優しさにくるまる。それだけでずいぶん救われるでしょう。求めるひとには声をかけることもするらしい。求めるひとは自然わかるのだという。本棚と本棚の影には小さな椅子が密かに置かれている。
明るく、フラットで、見通しが良く、資本主義的な図書館が増えている。税金を使う以上、沢山のひとに利用してもらえるよう努めるのは当然だろうと思う。しかし、はみ出してしまったひとたちを柔く包めるようなところも、無くなってほしくない。古くて少し残念なものの愛おしさを、許容できる強さがどうか無くなりませんように。