MU[無]ーペドロ コスタ&ルイ シャフェス@原美術館

原美術館で開催中の映像と彫刻の展覧会に行ってきました。ポルトガルの現代美術の展覧会です。
ペドロ コスタさんの映像は、何故だか目をそらせなくなる不思議なものでした。特に2階に展示されていた「少年という男、少女という女」は印象的。暗い部屋の対角線上に置かれたスクリーン。両面に異なる映像が投影されており、部屋の中はじっと立って映像に見入る人がずらりと。そのうち一人がそろそろと裏側にまわり、また別の一人が裏側にまわり、と鑑賞者まで含めたパフォーマンスの様にも感じました。動けば作品にとりこまれるような錯覚からしばらく動くこともできずひたすらスクリーンの片面を見つめてしまいました。

ルイ シャフェスさんの彫刻は、金属でつくられた抽象的なもの。黒い金属の滑らかさと、形に見とれてしまうほど綺麗でした。映像と彫刻が同じ部屋に展示され、映像の光だけで彫刻を鑑賞させるという面白い試みもあり。「香り(幻惑的にして微かな)�」は、シャンデリアを思わせるような形をして、その影まで計算しつくされたもので、とても素敵に幻惑されてしまいました。「虚無より軽く」は一つの部屋を贅沢に使って展示されており、その部屋ごとどこかに隔離されてしまったように感じました。宙に浮くような流線型の彫刻で、上部は球状になっており、未知の生物のようでも、人の臓器のようでもあり。金属の無機質さがそうした空想を軽々とかわしているようでもありました。

なんだか夢の中に居るような感覚を味わえる展覧会でした。